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知って、食べて楽しむ和菓子

2023.11.27

「和」菓子?

突然ですが、「和菓子」ってなんでしょう?大福、団子、羊羹(ようかん)、きんとんや練り切り・・・色々な和菓子がありますが、そもそもなぜ「和」菓子という名なのでしょうか。


「和菓子」という呼び名に対して思い浮かぶのは「洋菓子」です。


クッキーやチョコレート、ケーキなどの西洋生まれの菓子は、開国以降大量にもたらされました。
それらを称して洋菓子、それに対する名称として生まれたのが「和菓子」でした。


名称の違いに加え、原材料にも大きな違いがあります。卵や牛乳、バターなど動物性の材料を主に使う洋菓子に対し、和菓子は小豆や米粉、山芋などの植物性の材料を主に使用します。


上記のような原材料の特徴から、最近ではヴィーガンやグルテンフリーなど、食にこだわりや制限のある方にも受け入れられるスイーツとして注目されています。
ちなみに、カステラやボーロなどは卵を使用する上、欧州からもたらされた菓子です。
しかし、古い時代に日本にもたらされたことで日本化が進んでいることもあり、和菓子に分類されています。

和菓子のお店いろいろ

様々な種類がある和菓子ですが、どのお店でも全部の種類の菓子を作るわけではありません。
作る菓子の種類によって、京都ではいくつかのタイプに分けて呼ばれています。


まず「上菓子屋」。お茶席で使われる菓子を作ることを主とした菓子屋さんです。
お店で一般の方向けに売っているところも多く、有名店ではデパ地下に店舗を出しているところもあります。
しかし彼らの本領は、茶人のオーダーを受けて作る茶菓子です。
オーダーした方の茶会のテーマ、菓子を載せる器、取り合わせる道具などの情報をもとにオーダーメイドで作り上げられた菓子は、四季折々の茶席を彩ります。
値段はやや高いですが、舌で味わう以上に、モチーフをどう解釈して菓子にするのか、そしてそれに何という名前(菓銘)をつけるか、など、多くの楽しみ方ができる菓子です。


次に「おまん屋」。上菓子屋に比べ、日常に近い菓子を作ります。
饅頭、おはぎ、団子、わらび餅などの菓子です。
夏が近づけば水無月、盛夏には水羊羹や葛饅頭、実りの時期には栗大福など、気候の移り変わり、季節ごとの風俗、行事にちなんだ気取らない菓子を扱います。餅や赤飯を扱うお店をお餅屋と呼んで区別することもあります。
京都の街中を歩くと、こういった菓子が並ぶガラスケースが町家の間にふっと現れます。とりどりの菓子が並ぶ様子に惹かれ、思わず足を止めて、ひとつ、ふたつと買って帰るのも楽しいものです。


他にも、カステラや金平糖などの南蛮菓子を専門で作るお店、お茶席の菓子の中でも干菓子(ひがし)※を専門に作るお店、店に伝わる名物菓子のみを作り続けるお店など、京都には個性豊かな菓子屋が様々あります。
※落雁(らくがん)などの、水分量の少ない菓子

現代の和菓子

最近では、若い職人さんが独立して作る菓子屋も増えています。これまでにない造形感覚や色使い、モチーフで作る和菓子には、伝統の上に何をどのように積んでいくのか?という問いかけを、小さな体にはらんでいるように感じます。


SNSで発信をされているお店も多いので、検索してみて、興味のあるお店があればぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。

©2023 陶々舎 中山福太朗

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